事始め
Perfume のベストアルバム Perfume The Best “P Cubed” を購入しました。
これまで(~2018年)の楽曲の中から全50曲 + 新曲2曲が収録されています。
全52曲。なかなかのデータ数です。
そういえば、最近のPerfumeの楽曲ってFuture BassやDub系が増えたような気が…と思いがずっとあったので、良い機会なのでちょっと調べてみました。
分析の流れ
図のような流れで分析しています。
時間区間は、楽曲の中心に対して、その前後の計90秒を使っています。楽曲のイントロ・アウトロは特定の楽器だけしか鳴ってなかったり、特にイントロは聞いている人の注意を奪うような作りとなっているので、テンポのような楽曲全体であまり変わらないと仮定できる特徴抽出を行う場合には捨てたほうがよいと考えました。
特徴量は、サイクリックテンポグラム(Cyclic Tempogram)*1 の時間平均を使ってみました。 おそらく、電子音楽のサブジャンル(EDM, Techno, Feature Bass, Dub, etc.)はBPMにより弁別できると仮定し、リズム特徴だけを用いています。
最終的に、52楽曲のサイクリックテンポグラムの時間平均を、PCA (主成分分析)を使って2次元に次元圧縮しました。
結果
図2は Perfume The Best "P Cubed" 全52曲の2次元プロットです*2。
各点のラベルは、楽曲名およびBPMを表しています。また、ピンクほど最近の楽曲、水色ほど昔の楽曲という風にカラーマッピングしています。なお、BPMはこちらのサイト:Perfume - BPM ちょこっとメモを参考にしつつ、自分で聞いてラベリングしました。
テンポ特徴量を使っているため、目論見通り、同じBPMや似たテンポでクラスタができているのが確認できます。ただ、面白いことに "STORY" は BPM128のクラスタから離れた位置にマッピングされました。実際に"STORY"を他のBPM128の楽曲と聞き比べると、邦楽ではあまり聞きなれないリズムであることに気づきます。Bounceと呼ばれるようなEDMサブジャンルの楽曲っぽく、1拍3連符を使ったりする独特の跳ねるようなリズムです。そのため、他のBPM128の楽曲から離れた位置にマッピングされたのだと思います。BPMの値をだけでクラスタ分析するとこの違いは表れなかったため、テンポ特徴量が楽曲の分析に有効である良い例だと思います。
最後に
Perfume The Best "P Cubed" の全52曲をテンポ特徴量でクラスタ分析しました。 アルバムの選曲には制作側の意図があるとは思いますが、それも含めて、Perfumeの楽曲の傾向を分析する材料になるのではないかと思います。
最近の楽曲は Future Bass 系が多い傾向があるとか、細かいクラスタを見ると電子音楽サブジャンルの分類ができてそうとか、耳で聴きつつ、いろいろ見て考えながら音楽を鑑賞するのも楽しかったりします。もし何かお気付きのことがあったら是非教えていただければ幸いです。
*1:Grosche, Peter & Müller, Meinard & Kurth, Frank. (2010). Cyclic tempogram—A mid-level tempo representation for musicsignals. Acoustics, Speech, and Signal Processing, 1988. ICASSP-88., 1988 International Conference on. 5522 - 5525. 10.1109/ICASSP.2010.5495219.
*2:PCA 第1・2主成分を使っており、寄与率はそれぞれ33.0%, 18.2%でした