Wizard Notes

Python, JavaScript を使った音楽信号分析の技術録、作曲活動に関する雑記

7つのレベルでジャズハーモニーを学べる動画:"7 levels of Jazz Harmony"

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ジャズにおける和音進行のリハーモナイザーションについて、段階ごとに分かりやすく説明してくれている動画です。

ニ短調(D minor)であるボーカル+ピアノの曲(Juice - Lizzo)の一部を題材に、7段階のリハーモナイザーションの実例を示しています。

Level 1:"Bell Pepper" - II-V進行

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4和音II-Vノンダイアトニックコードを使った、初歩的なリハーモナイザーションです。

コード進行を見てみます。

|| Dm7 | Cm7 F7 | B♭6 | Em7(♭5) A7 |||

2,3小節目の Cm7 → F7 →B♭6 は、(下属調平行調である)変ロ長調(B♭major)からの借用和音(転調)となっており、IIm-V-Iと進行・解決しています。よくあるツーファイブの進行です。

4小節目、Em7(♭5)→ A7 は、元のニ短調における IIm7-5 → Vとなっており、ここでもツーファイブとなっています。そして、1小節目に戻ることで、IIm-V-Iと進行・解決になります。

この"ツーファイブ"は、ジャズハーモニーにおける”meat and potatoes”(基本)と動画で述べられています。

なお、1小節目の Dm7 → Cm7 は変ロ長調における IIIm7 → IIm7 進行、3,4小節目の B♭6 →Em7(♭5)は ニ短調における VI♭6 → IIm7-5 とみなせます。

Level 2:"Poblano Pepper" - 裏コード・テンション

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トライトーンサブスティテューション(裏コード)やテンションコードを使っています。Level 1よりも、さらにジャズっぽい響きになっています。

|| Gm7 A7#9 E♭9 | Dm7 B7 | B♭6 Gm7 C7 | F9 Em7(♭5) A7 ||

基本的には、

  • 2小節目:F7の裏コードであるB7を使用
  • 3小節目:B7からB♭6に半音下降して進行(tension and release)

このような和音は、ジャズハーモニーのボキャブラリーにおける "bread-and-butter" (常用するもの)と述べられています。

Level 3:"Jalepeño Pepper" - コードエクステンション

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さらにジャズっぽさが増して、だんだんハーモニーとして成立しているのかが怪しくなってきました。非常に複雑です。

7thコードの上に、さらに音が積み重ねられています(コードエクステンション)。これを堆積というらしく、三度堆積・四度堆積といった用語で 検索するとよいかもしれません。また、動画中では、三度堆積をTertian Harmony (3次ハーモニー)と呼んでいます。

Level 4:"Piri Piri Pepper" - ペダルポイント

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これまでとは譜面が少し違います。低音部が同じ音が継続して鳴っており、高音部は和音が変化しています。このような 和音進行のさせ方は(低音部)ペダルポイントと呼ばれるようです。

Level 5:"Habenero Pepper" - 非機能和声

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非機能和声を使ったリハーモナイザーションです。ここまでくると、リハーモナイザーションの指針を定めるのが大変そうな気がします。

Level 6:"Ghost Pepper" - 不協和音の解法

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出だしから強烈で不可解な響きです。譜面も???な感じです。

”Liberated Dissonance"(不協和音の解法)ということで、 "Poly Chord"(複合和音)、"Mirror Harmony"(投影法)、"12-Tone/Serial stuff"(十二音技法)といった近代音楽の技法が使われています。

Level 7:"???" - ゼンハーモニック

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メロディのスケールに合わせて、各コードの音高にピッチの指定(イントネーション)が入ります。

"Xenharmonic"(12音平均律に基づかないハーモニー)と呼ばれているようです。

感想・まとめ

7つのレベルでジャズハーモニーを学べる動画:"7 levels of Jazz Harmony"を紹介しました。レベル1、2でもなかなか難しいので、後半はまだちゃんと理解できていませんが、リハーモナイザーションの勉強にオススメです。

最後の "Xenharmonic" は、動画内で紹介されているように、Lofi-Hiphop系の音楽を作るにあたって重要な技術だと感じます。

また、記事中では紹介しきれませんでしたが、動画中では各レベルに応じたアーティストの紹介もあるので、是非聞いてみてください。