Wizard Notes

Python, JavaScript を使った音楽信号分析の技術録、作曲活動に関する雑記

カラオケ音源を使ったボーカル抽出を防ぐための7つの対策法

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歌入りオリジナル音源から、カラオケ音源を引くことで、ボーカルだけを抽出できることはよく知られています。歌声りっぷのようなソフトウェアもこの仕組みを利用しており、また、オーディオ編集に慣れている人であればDAW上で簡単に抽出することができます。

一方で、自身の音源ではボーカル抽出されたくないと考えている制作者さんもいると思います。 しかし、それを防ぐ方法はあまり知られていません。

カラオケ音源も頒布したいけれど、ボーカル抽出はされたくない…」

そこで、カラオケ音源からのボーカル抽出を防ぐための対策法を、いくつか紹介したいと思います。

基本戦略

以降紹介する方法の基本戦略は、歌入り音源の伴奏と、頒布するカラオケ音源を、聞く分には変わらないが信号としては別物にするということです。

ボーカル音源 + 伴奏音源) - カラオケ音源 ≠ ボーカル音源

ただし、カラオケ音源が別な曲になってしまっては意味がないので、あくまでもその曲の伴奏ではあるものの、ボーカル抽出ができないようなカラオケ音源の制作を考えていきます。

方法1:トラックを加える/減らす

カラオケ音源を編曲することで、ボーカルだけが残らないようにする方法です。

例えば、カラオケ音源にボーカルと同じメロディを演奏するリード楽器を加えた場合、歌入り音源ーカラオケ音源の結果はボーカル+リード楽器となります。

方法2:エフェクトを変える

エフェクト自体/設定を変えることで、信号としては違う伴奏を作る方法です。特に、コンプレッサーやリミッターのような非線形な処理のエフェクトがいいと思います。

方法3:開始時刻をずらす

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画像のように、開始時刻を微妙にずらす方法も有効です。この方法だけだと地道な波形編集でどうにかできてしまうので、他の方法と組み合わせることで、強力な手法となります。

方法4:テンポを微妙に変える

  • 歌入り音源:BPM 150
  • カラオケ音源: BPM 149.9

というように、微妙にテンポをずらすのも有効です。

方法5:タイムストレッチ

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画像のように、カラオケ音源を僅かにタイムストレッチ(=時間方向に引き伸ばしたり、縮めたりする)のも有効です。DAWがあれば簡単にできます

方法6:基準ピッチを変える

  • 歌入り音源:440Hz
  • カラオケ音源: 439Hz

というように、基準ピッチをずらすのも有効です。

方法7:パンを変える

少し面倒ですが、いくつかのトラックのパンを変えるのも有効です。

まとめ

カラオケ音源を使ったボーカル抽出を防ぐための対策方法について、簡単に紹介しました。

市販楽曲のカラオケ音源でもこういった手法が使われていたりします。

方法1~7を、できれば組み合わせて使うことで、カラオケ音源からのボーカル抽出の難易度を上げることができます。制作者さんの手間は僅かですが、ボーカル抽出しようとすると非常に労力がかかり、また技術が必要になります。

オススメは方法3+5です。