Wizard Notes

Python, JavaScript を使った音楽信号分析の技術録、作曲活動に関する雑記

歌声/楽曲分析・音源分離に使えるステムファイルのデータセット MUSDB18

https://sigsep.github.io/datasets/musdb.html#musdb18-compressed-stems より

以前の記事では、様々な音楽ジャンルのステムデータ付き楽曲データセット DSD100 を紹介しました。

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DSD100 は全100曲とそれなりの楽曲数がありますが、大規模データ分析や深層学習のような処理ではなるべく多くの楽曲データが必要となります

本記事では、この DSD100 を1つのソースとして利用した、よりデータ数の多い楽曲データセット MUSDB18 を紹介します。

MUSDB18 の概要

MUSDB18 | SigSep

MUSDB18 は DSD100 と同じくステムデータ付き楽曲データセットですが、比べると以下のような違いがあります。

楽曲リストによると、音楽ジャンルの内訳は以下のようになっています。

  • Pop/Rock: 73曲
  • Rock: 17曲
  • Singer/Songwriter: 15曲
  • Heavy Metal: 13曲
  • Electronic: 9曲
  • Rap: 9曲
  • Countryr: 6曲
  • Reggae: 4曲
  • Jazz: 4曲

ダウンロード・利用条件・ライセンス

データセットは研究データリポジトリZenodoでホストされており、MUSDB18のWebページのデータセット名をクリックするとZenodoに飛びます。

Zenodoのページの権利関係に関する記載の翻訳が以下になります。

MUSDB18は教育目的でのみ提供されており、それらに含まれる素材を著作権者の明示的な許可なしに商業目的で使用することはできません。

100曲はThe 'Mixing Secrets' Free Multitrack Download Libraryから派生したものです。DSD100のデータを使用する際の権利に関する質問は、このオリジナルリソースを参照してください。 46曲はクリエイティブ・コモンズ(BY-NC-SA 4.0)でライセンスされたMedleyDBから引用しています。 2曲は、Native Instruments社のステムパックから提供されたものです。 2 トラックは、カナダのロックバンド The Easton Ellises が heise stems remix competition の一環として提供したもので、Creative Commons (BY-NC-SA 3.0) の下にライセンスされています。

また、楽曲リスト には各楽曲ごとのライセンスがまとめられています。

その他

エラッタに関する情報はMUSDB18のWebページに掲載されています。

データセットパーサは、Python、Docker (MATLAB), Julia 用のものが用意されています。

Pythonの場合、ステムデータのデコードに stempeg というモジュールを利用しています。

また、stempegではffmpegを利用しています。

使い方など、詳しくは下記のWebページを参考にしてください。

github.com

github.com

まとめ

150曲のステムデータ付き楽曲データセット MUSDB18 を紹介しました。

DSD100 に50曲のデータが追加されているため、より多くのデータが必要なアルゴリズム向きです。

また、コーデックがAACでありデコード用のライブラリも準備されているので、ダウンロード・下準備においてDSD100よりも扱いやすいのではないかと思います。

データとしてはDSD100はMUSDB18の部分集合となっていますが、MedleyDB などから集められたデータは DSD100とはライセンスが異なることに注意が必要かと思います。

関連

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