諸注意
本記事で紹介する内容は著者個人の改造事例であり、改造を推奨するものではありません。万が一、本記事を参考にしたことに起因する直接的又は間接的な損害に関して一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください.
はじめに
オーディオテクニカの耳掛けイヤホン ATH-EW9 は、今*1でもまだ新規購入可能な数少ない耳掛け型イヤホンの一つです。
北海道産アサダ桜のムク削り出しウッドハウジングが搭載されており、暖かみのある良い音色だけでなく、所有欲を十分に満たしてくれる、とても良いイヤホンです。
audio-technica オンイヤーヘッドホン 耳掛け ウッドハウジング ATH-EW9 ブラウン 小型
ただし、無線イヤホン全盛期である今、有線であるこのイヤホンはなかなか出番が少なくなってしまいます。
どうしてもケーブル絡まりや音楽再生機器との接続の手間を無くしたいところです。
また、せっかくコンパクトな筐体となっているので、ケーブルは着脱できたほうがデザイン的にもよいはずです。
そこで、MMCX端子(超小型同軸コネクタ)に換装することで、ATH-EW9を無線化してみました。
改造のメリット
この改造後には、2つの利用方法が考えられます。
まず、無遅延/音質重視で聞きたい/音楽再生機器が有線接続のみ対応の場合は、有線のMMCXケーブルを使って接続します。
DTMやゲームではこちらの使い方をしようと考えています。
また、無線イヤホンとして利用/マイク付きヘッドセットとして利用する場合は、マイク付きネックバンド型MMCX対応Bluetoothレシーバと接続します。
この利用形態であればマイクが利用できるので通話等にも使えます。
利用した工具・パーツ
- パーツ等
- MMCXメス端子 2個(選び方は後述)
- 工具
- はんだづけ関係
- ペンルーター(切削加工機器)
- ニッパー・ペンチ
- ワイヤーストリッパー
- 1.5mm六角レンチ
- 接着剤・粘着剤
Dremel(ドレメル) ペン型ミニルーター FINO(フィーノ) 無段階変速 9種11ピース入り 22,000回転/分 研磨/磨き/汚れ落し
また、部品が小さいため、質の良いピンセットやフラックス(はんだ付け促進剤)を用意することで作業が捗りました。
ホーザン(HOZAN) 先曲がりピンセット カーブタイプ 材質ステンレス 全長115mm 重量18g 開き幅7mm P-882
ホーザン(HOZAN) フラックス 鉛フリーハンダ対応 便利なハケ付きキャップ付 容量30mL H-722
手順
1. ハウジングを外す
1.5mm六角レンチを使って、3か所のネジを外します。
実際にやってみたところ、おそらくこの作業が一番注意が必要です。
このネジはかなりきつく締まっています。なのでネジを緩めるのにある程度力が必要ですが、力を入れすぎると埋め込まれているナットも一緒に出てきてしまいます。
実際、R側のナットは2箇所出てきてしまい、戻すのに大変苦労しました。
2. MMCXメス端子を出す穴を作る
なるべく本体を傷付けずに改造するため、余計な厚みがないMMCXメス端子を探しました。
最終的に、以下のMMCXメス端子を購入しました。
自作 イヤホン カスタムIEM用 MMCXメスプラグ 2個セット 丸型
注意点として、安いMMCX端子の場合、穴の大きさがいい加減なことがあります。
そのため、利用予定のMMCX端子ケーブル/BTレシーバのMMCXオス端子との着脱が正常にできるか試しておいたほうがよいでしょう。
だいぶコンパクトなMMCXメス端子を選んだものの、元からある有線ケーブル用の溝には入りませんでした。
妥協してイヤホンの外にケーブルを少し出すような構造も考えられますが、見た目の良さを考えると筐体内に収めたいところです。
そこで、ペンルータ等を使ってケーブル用の穴を少し削ります。
本当はちゃんと寸法を測って正確に削るべきですが、自分用なのでかなり適当に切削しました。
加工処理後は以下のようになっています。
3. MMCXメス端子のハンダ付け・マウント
まずは淡々とハンダ付けをしていきます。
線材は、筐体内のものを切断して再利用しました。そのため、ドライバユニットへのはんだ付けの必要がなく、MMCXメス端子のはんだ付けのみとなりました。
そのままでは筐体内に入らなかったため、MMCXメス端子の周囲4本のGNDの内、同一対角線上にある2本を折っています。
また、なるべく筐体内に収め、MMCXにおける着脱時の負荷を緩和するため、MMCX端子の周囲に粘着剤を入れて固定しています.
4. ハウジングを取り付ける
外したハウジングを取り付けます。
ハウジングには2枚の吸音材が入っていますので、それをちゃんと格納し、ネジを占めていきます。
最後に、音が鳴るか確認し改造完了です。
まとめ
耳掛けイヤホン ATH-EW9 をMMCX化しました。
はんだ付けや切削加工は比較的簡単ですが、特に初めてハウジングを取り外す際にはナットが外れないように注意が必要だと感じました。
ATH-EW9自体が分解しやすい構造となっているので、例えば吸音材を交換するといったMMCX化以外の改造もできそうです。
完成後、以下のBluetoothレシーバを使って無線ヘッドセットとして利用しています。このBTレシーバはマイクも内蔵しているため通話もでき、現代の一般的な無線イヤホンと同じ使い勝手で使えそうです。
【 aptX HD/aptX/AAC 対応 】 Bluetooth レシーバー mmcx リケーブル 対応 (JPRiDE) BTR-1
こちらのBTレシーバはAmazonのセール時に5000円弱でした。aptX HD / aptX / AACコーデックに対応していることが決め手でした。
ただ、Shureの耳掛け用を想定しているため、ATH-EW9で使うにはケーブルが長すぎる印象です。
もしかしたら、以下のケーブル型のものか、SonyのBTレシーバの方が良いかもしれないと思っています。
Bluetooth レシーバー mmcx リケーブル 対応【 aptX HD/aptX/AAC 対応 10時間連続 】 Bluetooth 5 ver JPRiDE BTR-1 std
ソニー ワイヤレスオーディオレシーバー Bluetooth対応 MUC-M2BT1
付録:余ったケーブルのMMCXケーブル化
参考・関連Webサイト
*1:2021年秋現在