はじめに
前の記事では、中古で入手したオーディオテクニカの耳掛けイヤホンの ATH-EM7 を分解してみました。
この ATH-EM7 を分解することで、
- イヤパッドの交換が必要である
- 背面に吸音材がない(ATH-EW9は有り)
- 耳かけ部のラバーサポートが劣化している
- U字ケーブルが使われている、ケーブルが劣化している
の4点が修理・改造すべき箇所であることが分かりました。
そこで今回は 1, 2, 3 の修理・改造してみました。
なお、4の修理・改造しなかった理由については後述します。
修理・改造内容
1. イヤパッド交換
過去の記事にも書きました通り、元々のEM7のイヤパッドは薄いです。
経年劣化の影響もありますが、このイヤパッドが ATH-EW9 との音質差の原因の一つであると考えられます。
そこで、ATH-EM7にATH-EW9 用のイヤパッド HP-EM9 を装着することにしました。
audio technica ( オーディオテクニカ ) / HP-EM9 交換用イヤーパッド
HP-EM9 の構造は、耳と接触する表面部は網目が粗いメッシュとなっています。
一方、内側は色違いのメッシュが2つ入っており、外側が白色、内側が黒色となっています。
表面部の網目の粗さは、向こう側が透けて見えるくらいです。
このイヤパッドは周囲に粘着テープを剥がせば、簡単に接着することができました。
HM-EM9接着後のEM7を横から見てみると、だいぶ厚みが増したことが分かります。
ATH-EW9と比較しても、同じくらいの厚みがあります*1
実際に耳に着けてみると、ATH-EW9と同じような装着感になり、オリジナルのEM7よりも付け心地がよくなりました。
2. 背面への吸音材の追加
ATH-EW9 の改造の記事では、ATH-EW9には背面に吸音材が2枚入っていることをお伝えしました。
一方で、ATH-EM7の背面には吸音材が入っていません。
これも音質への影響があると考え、ATH-EM7の背面にも吸音材を入れることにしました。
とりあえず、ありものでなんとかすることとし、元々ATH-EM7についていたイヤパッドを加工して吸音材として使うことにしました。
できれば ATH-EW9 の吸音材と同等の厚みのものを入れたかったですが、EM7のハウジングはEW9のハウジングよりも厚みが小さいため、この方法を選択しました。
具体的には、EM7のイヤパッドを画像の右側のように切り取りました。
これを、画像の左側のように背面に覆いかぶせるように配置しました。
3. ラバーサポートの交換
こちらは単純にパーツ交換となりました。
イヤーハンガーについているゴム製ラバーサポートは単体で購入することができます*2*3。
audio technica ( オーディオテクニカ ) / ATH-EM7-LS-R ATH-EM7用ラバーサポート
audio technica ( オーディオテクニカ ) / ATH-EM7-LS-L ATH-EM7用ラバーサポート
針金のばねのようになっている部分にラバーサポートを入れる際には、ネジを止める時のように回しながら入れると簡単に入りました。
修理・モディファイ後の音質
元々ATH-EM7は薄っぺらくチープな音質という印象でしたが、多少良い方向に変わったと思います。
修理・改造後はぼやけていた音像がはっきりして、前よりも中高域が綺麗に響くようになりました。
ATH-EW9はもちろんですが、同じく金属ハウジングのATH-EM9Dよりも高域が強めです。
低域はATH-EW9 などと比べると弱い印象ですが、装着位置や締め付け具合によっても音質は変わります。
もし再生側でイコライジングできるのであれば、例えば以下のように低域(100~200Hz周辺)をブーストし、高域を削るとよいでしょう。
ATH-EM7 修理・改造の課題
ATH-EM7 では、太いU字ケーブルを採用しているためか、左右でケーブルを出すための穴のサイズが異なります。
これによって、例えば ATH-EW9で利用したようなMMCXメス端子を装填するには穴をふさぐための工夫が必要となります。
また、この元々のU字ケーブルの存在によって左右の背面での音響的な特性が若干異なると考えられます。
なので、音質的には大きい方の穴を半分塞いでリケーブルすべきだと思います。
もし今後よい方法を思いついたら取り組んでみます。
まとめ
オーディオテクニカの耳かけイヤホン ATH-EM7 の修理・改造を行いました。
イヤーパッドを交換したり吸音材を入れることで、音質が若干向上していることを確認しました。
また、装着感はATH-EW9とほぼ同じでとても良くなりました。
この改造のコストですが、
- ラバーサポート 220円 x 2
- イヤパッド 858円
で計 1,078 円かかりました。
やはり耳掛けイヤホンの他の機種と比較すると低域は足りないと感じてしまうので、改造してもメインで使っているかは微妙なところです。
ただ、同じく金属製ハウジングの耳掛けイヤホンのフラグシップモデルである ATH-EM9D, ATH-EM9R の入手はとても困難であり、ATH-EM7 はそれらよりもまだ入手はしやすいようです。
なので、
- ATH-EM9D, ATH-EM9R に近い音質や外観の耳かけイヤホンが欲しい
- 中高域が中心の軽快な音質がよい
- 装着感を改善したい
場合には、ATH-EM7という選択もありなのかもしれません。